無垢フローリングにはいい所も悪い所もある。それをわかって納得した上で
選択しないとトラブルの原因になり得る。ここではそんな無垢材のメリット、デメリットを紹介したい。
1.無垢材のフローリングがいい点
1.1.調湿作用
なんといっても、無垢というだけあって、表面だけでなく中身も本物。
天然木100%の素材構成で機能的には、水分を調整する特長をもっている。
特に我が国、日本には特有の四季がある。
夏は、湿度が高く、湿度60%を超えるとカビやダニが発生しやすくなり、反対に冬は、乾燥し湿度40%を下回るとインフルエンザウィルスが活動しやすくなる。
無垢材を室内環境に多く使用することで、湿度の調整に大きく貢献する。(調湿作用という)
つまりは、無垢木材は湿度が高い時は、水分を吸収して、逆に低い時には、水分を放出する。
梅雨時にはじめじめした不快な環境を緩和し、冬時の乾燥時には、空気中に水分を吐き出すことでには適度な水分調整を行い快適な湿度を保つ。
1.2リラックス効果
ほとんどの木材には香りがある。この香り成分はフィトンチッドという成分で、
微生物に対しては殺菌作用、人に対しては、リラックス作用をもたらす。
桧や杉などでは香りを嗅いで、不快と思う方は少ないと思う。
我々、材木を扱う業者にとっては日常茶飯事のように嗅いでいる匂いだが、
私自身の自宅にもこれらの素材を多用した使用した家の中で生活しているのだが、
経験的に「居心地の良さ」を五感で感じるのは確かに実感できる。
(RC造で見栄えがよくかっこいい住環境は、無機質で憧れるが、「居心地の良さ」から比較すると木材を多用した住宅には勝てないと思う。)
1.3熱伝導率が低いからひんやりしない
フローリングに無垢木材を使用すると、あたたかみを感じる。これは、木材が熱を伝えにくいために触ってもひんやりと感じにくいからだ。
材の種類にもよるが、一般的に空気を多く含む材、言い換えれば、比重の低い材種ほどこの傾向が強い。
無垢材といえども、水に沈むくらい高比重なものから低比重のものまで様々だが、高比重で硬い材は、冬場などはヒヤッとするが、柔らかい杉や桧などは素足や直接、寝転んでも気持ち良さを感じる。
1.4経年変化が味わい深く美しい
使い込めば使い込むほど「味わい」が出てくる。本当の木の事が好きな人なら、新品のフローリングより使い込んで味わいが出たものの方がよいと感じ傾向にある。
木材は細胞内に樹脂を含んでおり、それが年数とともに表層に浮き出てくる。それが「味わい」となり、「飴色」となって経年変化での美しさを出す。
1.5修復できる無垢材
合板や新建材と違って無垢のフローリングは修復可能だ。表面だけを化粧した新建材と違って、無垢材はある程度、修復可能です。
例えば、杉なんかは非常に柔らかい材料でフローリングとしては傷がつきやすく、へこみやすいが、水を垂らして吸湿させた後、アイロンなどで直接、あてると復元する。これは柔らかい材料ほど、復元しやすい傾向にある。
また、オイル系の仕上げ塗装や塗装のしていない材料だと、あまりにも酷い状態であれば、サンドペーパーで擦って汚れや傷をある程度、取ることができる。
1.6長年しようしても、ふかふかへこまない
20年以上前の住宅では合板を使用した床材が多用された。しかし、昨今のリフォームによる床の張替工事では、圧倒的に床がへこむ(いわゆる床が沈む)現象が見受けらる。それは、なぜか?
それは、現在のベタ基礎と違ってコンクリートを基礎内に流してないので、まともに床下の湿気の影響を受け、ベニヤが剥離するからだ。
本物の無垢なら湿気が高い状況下でもこのようなことは起こらない。
2.無垢材のフローリングの悪い点
いい点ばかりあるとは限らず、無垢材のフローリングにも欠点がある。
2.1伸び縮みする
木である以上、空気中の湿度を吸放出するため、自身が伸びたり縮んだりする。特にフローリング用途で使用される木材は、厳重な含水率管理された製品でなくてはならない。(含水率は簡単にいうと木材中に含まれる水分の割合)
木材は使用用途により、適した含水率にしなくてはならない。外で使用する土木用途の材料であれば、丸太を製材してそのままのいわゆる「生材」で利用するものでもよいが、構造用の柱類は含水率20%以下が望ましいし、フローリング用では10~15%範囲内が望ましいと言われている。
木材は含水率30%を下回ったところから、変形しやすくなる。
特にその収縮の大きさは巾方向>厚み方向>長さ方向の順番になり、
その木材の動きがフローリングで使用した際、問題となることがある。
フローリング材で特に問題となるのは、具体的に2パターンだ。
1つめパターンは、先の含水率がフローリング用にしっかりした管理の下で行われず、製品化されたことによる問題。
日本の住宅で長年住んでいて床の含水率は10%程度の環境下なので、フローリング材もこれに近い含水率でないと暴れる。
昔ほどではないが、海外で製造されたフローリングが見た目はきれいでも、中身の含水率までは見た目ではわからないので、問題となることがあった。また、海外と日本の気候風土の違いも原因のひとつだ。
高い含水率をフローリング材として使用した場合、含水率10%に向けて水分が抜けていき、その過程で巾方向で縮もうとする。その結果、何が起こるかというと、板と板の突合せ部分が透いくる。酷い状態にもなると床の下地までむき出しになることもある。
逆に、過度に乾燥させた材料をフローリング材に使用した場合、今度は逆に大気中の水分を吸ってしまって膨張する。その結果、巾いっぱいまで広がった結果、突き上げという現象が起きてしまい、山形に隆起してしまう。いずれも、外面だけではわからない施工後に起こる不良だ。
2つ目のパターンは、施工不良によるものだ。梅雨時の湿気の高い時期に施工する場合は、フローリング自体が吸湿する。冬時の乾燥時には、反対に放湿する。施工時によく名刺一枚ほどの間紙をかますのは、フローリング自体の動きを予測してクリアランスを設けるためだ。あと壁際などしっかりギチギチに施工してしまうと伸びた時の逃げ道がなくなるため、障害を起こす原因となる。
2.2他の床材に比べて無垢フローリングはコストアップになる
貼りものの新建材と違ってコストが高くなるのは一般的だ。無垢は、素材自体の影響を受けやすく、広葉樹>針葉樹の傾向になる。
世界を代表するような銘木のチーク、ブラックウォールナット、マホガニーなどでできたフローリングは世界的にも珍重され高価になる。
一般的に広葉樹などの硬く色目が濃い材料ほど高く、針葉樹のような節があるものほど安価になる。
同じ樹種同士では、1枚の長さの中で継ぎ合わせのないタイプ(一枚もの=OPCという)が高く、ジョイントしているもの(UNIという)の方が安価になる。広葉樹のほとんどはこのUNIタイプが流通しており、針葉樹だとOPCタイプが主流だ。
左写真は”くるみフローリング”のOPCタイプ
こちらはおなじく”くるみ”のUNIタイプ
1820の長さの中で4~6枚程度ジョイントしてある
いずれにせよ、無垢材を使った床材になると他の床材に比べて高くなる傾向になる。
[…] m程度の厚めの板(挽板)が仕上げ面に貼ってあり、長さ方向のつなぎがなく、一枚もの(OPCという)になる製品が多い。狂いが少ないという特性から安定性が高く、巾に関しても15 […]
ピンバック by 設計事務所が使う無垢フローリングの種類とは | itoki-shop — 2016年12月5日 @ 6:02 PM