無垢フローリングは、一般的にに高価なイメージがあるが、材料の種類や節があるグレードなどで価格帯がまちまちだ。
本コンテンツでは、汎用的に使用されている材種の価格帯を説明したい。
1.価格は広葉樹>針葉樹
木は大別すると広葉樹と針葉樹がある。一般的にフローリング材として多用されるのは、広葉樹だ。
広葉樹は材質が硬いのが多く、材種によって価格の差が生じるがよく汎用されているカバ桜はスタンダード品だとすると
高級材であるウォルナットなどはその倍以上はくだらない。
針葉樹では、国産の杉や桧がメインであるが、節があるものだと比較的、安価に入手できるのが多い。
また、材料自体にも価格差は生じるが、それ以外にも製造コストの占める割合が大きい。
広葉樹の大半の工場は、中国を主体に東南アジア諸国で生産され、人件費が比較的安いため製品を輸入しても価格的に国内需要とマッチする場合が多く、その反面、国産の杉、桧はふんだんに素材があり、元の原木丸太素材も安価に入手できるが国内生産がメインとなるため、製材賃、木材乾燥費、加工費といった人件費を転嫁させるため製造コストの割合が高くなるが一般的である。
日本の杉のような節有が比較的安価であり、その上にナラ、カバ桜、タモ、メープルといった材は多少価格差があるものの同じような価格帯であり、世界的にも銘木であるチーク、ウォルナット、マホガニーといった材が使われたフローリングは高価になりやすい。余談ではあるが、安価な材は一般的に杉であるが「安いのも高いのも杉」という言葉は実にうまくあてはまる。
杉は若木であれば確かに安いが直径1mを超え、それこそ屋久杉のような材では目を疑う価格となってしまう。高齢樹ともなると独特の杢目が生じ珍重される。
2.グレード
同じ材種でもグレードによって価格帯は変化する。
フローリングのグレードは、以下の通りだ。
- ・節の有無
- ・芯材、辺材
- ・かすり、入皮、ヤニ壺
材に欠点がないほど、グレードが高くなりコスト高になる。
それでは順番に説明していきたい。
2.1.節の有無
木は、太陽の光を浴び光合成により、養分を作り出す。幹から枝が伸び、葉でその過程を行っているので、木の成長過程では欠かせないものとなる。いわゆる幹から枝を切断した部分が、節ということになるわけだが、木材として活用した場合、節がないものより、価値が落ちるのが一般的だ。
当たり前のような節の存在だが、見た目と強度の問題で市場的な価値が低くなる。このため日本の手入れの行き届いた山の杉、桧では「枝打ち」という工程で成長過程の枝を払う。枝を払うことで、そこから木の成長とともに年輪が形成され、節の断面を覆っていく。
年数が経つほど、その層は厚くなっていき、結果として節のない、いわゆる無節材がとれるのである。
そういった手間がかかるため、無節材のグレードは珍重され、長ければ長いほど、無節でとれる材が少なるため、一般的にユニタイプのフローリングが多いのはこのためだ。(OPCは量産できないため高価になる)
2.2.心材と辺材
心材、辺材は漢字のごとく、丸太の芯の材と縁の辺の材のことである。
左は杉の丸太、木口断面。
心材と辺材の差が明瞭。
ブラックウォールナットの板。
杉と違って心材と辺材の違いが判るものの、辺材も
心材に近い色合いをしている。
先の節の項目でもふれたが、節がとれやすいのは辺材であるため、心材で無節材をとろうすると材種にもよるが高価となる。
また白木のカバ桜、メープルなどは、辺材の方が心材より白さが増すので、辺材の方が好まれる。
2.3.かすり、入皮、ヤニ壺
樹種にもよるが、かすり、入皮、ヤニ壺があるものもある。
いずれも見た目を損なう欠点であるが、マツ系統の材に多いヤニ壺は、機能的に問題となる。
3.同じ材でも価格差がある
先のグレードでも触れたようにグレードの差で価格差が生じるが、それ以外でも値段の高低が生じる。
- ・巾、厚み、長さなどのサイズ
- ・ユニタイプ、乱尺、OPC(ソリッド)タイプなどの形状
3.1.巾、厚み、長さ
巾に関しては90mm巾を基本にそれを超える120mmや130mm、中には180mmくらいのものや逆に60mmのものも存在する。巾が広くなるにつれて同じ材でもコストアップにつながりやすく、巾狭のものは生産コストの影響で安価にはなりにくい。
また、厚みに関しては15mmが基本で18mm、20mm、30mmといったものも存在する。厚みが大きくなるということは、材料費が嵩むため、やはり㎡単価は上がっていく。
3.2.ユニ、乱尺、OPC
長さに関しては1820mmのものが多い。一般的な形状は以下の通りだ。
- ・ユニ
- ・OPCまたはソリッド
- ・FJL
ユニタイプ
一般的に普及しているタイプで長さ1820mm間で4~6枚程度の木材を長さ方向にジョイントしたのがユニタイプ。ユニタイプにすることで木材の欠点を除き有効活用することができる。
くるみ ユニタイプ
OPC(ソリッド)タイプ
上位のグレードで一枚もの(ワンピース)で長さ、巾、厚みにおいても木材そのもので作ったタイプ。無垢木材の固まりの由来からソリッドともいい、一般的にどの種類の材においても高価になりやすい。長さが一律の「定尺」と長さがまちまちの「乱尺」製品がある。
カラマツOPCタイプ
FJL
Finger Joint Laminationの略で長さ方向と巾方向にもジョイントしたタイプ。
フローリング以外にも一般的に積層材とよばれるものは、このジョイントを使用して製品化している。
見た目は先のユニタイプ、OPCタイプに対して劣り、安価で入手できるメリットがある。
ゴムFJLタイプ
まとめ
1. 針葉樹、広葉樹で価格は異なる
安価なものでは針葉樹の杉節有材、高価なものなら世界的にも珍重される広葉樹、チークやウォルナット、マホガニー。
2. 同じ材でもグレードにも価格差がある
節なしのいわゆる「無節」だと同じ材でも価格差が大きくなり、さらに白太オンリー、赤身オンリーで選別した材だとさらに高価になる。
3. 同じ材でも価格差あり
巾広で厚いものやOPCものは高くなる。形状別ではFJL<ユニ<OPCといった具合に高価になる。
すべてが当てはまったものでいうなら世界三大銘木チーク、ウォルナット、マホガニーで形状はOPC、巾広といったもの(たぶん量産は不可能で入手困難だと思うが)にもなると、いったい如何ほどの価格になるのであろうか?